10年ほど前、重心障害者の方の生活介護施設の立ち上げに携わったことがある。
その時の利用者様、Tさんという女性の方が他界された。30歳という若さで・・
肺炎で入院されたことは聞いていたのだが、心不全を併発し急変されたそうだ。
気管切開、人工呼吸器装着、胃瘻・・・ バリバリの医ケアっ子だったTさん。
ただ、今ではよく耳にする「医療的ケア」と言う言葉、Tさんが小さい頃は、医ケアという言葉すら耳慣れない言葉。
「在宅で気管切開、胃瘻なんて・・・吸引?注入? 何ですか、それ?」ってよく言われたのよ・・とお母さまが冗談交じりに話しておられたのをよく覚えている。
気切があるから、胃瘻があるから、とスクールバスに乗れなかったり、通いたくても受け入れてくれる施設がなかったりしたそうだ。
当時、重心障害児のお母さま方々が行政に働きかけられたことが、今の制度の基礎となっているといっても過言ではない。
今、医療的ケア、という言葉がよく聞かれるようになり、様々な制度が作られたり見直されるようになった。
先人の方々のご苦労があってのことだと思う。頭が下がる思いだ。
ついこの前まで元気で通所していたのに・・熱が出て、肺炎になって・・心不全になって・・・
重心障害の方は健常者と違って、抵抗力が弱く、重症化しやすい。
だからこそ、日ごろのケアが重要になってくる・・
このことを改めて再認識し、訪問看護を行っていこうと思う。
Tさんのご冥福をお祈りします。