ひなちゃんは、気管切開・呼吸器装着・胃ろうによる経管栄養という医療的ケアが必要な6歳の女の子。
母親は、地域の幼稚園で健常児とのふれあいを通してたくさんの事を体験して欲しいと思っておられ、今年の4月より週1日から地域の幼稚園に通園出来るようになった。
医療的ケアを行うため週1回幼稚園の現場で関わることになった。
通園当初は、保育士さんも気管切開や呼吸器など初めて目にする機器類に戸惑い、またひなちゃんにどのように接していいかわからず、困惑しているように思えた。ひなちゃん自身も生活リズムに慣れないため寝ていることも多かった。
周りのお友だちは、医療機器に関係なくすっと馴染めていた。いろいろと質問してくるお友だちもいるが、一つ一つわかるように説明をして理解していった。
9月からは、週3日の通園となり、10月の運動会・遠足も一緒に参加できた。体力もついてきて、寝ていることはなくなった。
幼稚園での様子は、朝園庭で音楽が流れ体操からスタートする。ひなちゃんもクラスで輪になり聞きなれた曲で全身動かし体操する。クラス活動では、公園での活動、ボール遊び、リレー、お絵描き等仲間と一緒に取り組んでいる。出来ないところはお友だちにお手伝いしてもらいながら取り組んでいる。 
2021年6月医療的ケア児支援法が成立し、9月施行された。国・地方自治体の責務等を定めたという点で画期的である。
「地域の幼稚園・学校に通いたい」という医療的ケア児の願いをかなえるため看護師の人材確保と医療的ケア児の健やかな成長、保護者の離職の防止、社会の医療的ケア児への理解の広がりが今後の課題といえる。
医療的ケア児とその家族が、適切なサポートを受けながら、当たり前の生活を送ることができる社会の実現とともに、我々医療従事者が生活の場に介入することでひなちゃんのような地域で楽しく生活出来る子どもたちの笑顔が増えることを期待する。
ひなちゃんは、来年地域の小学校入学を予定している。
「また、明日ね」と言う言葉とともに日常が続くことは、あたり前のようで、とても大切なことだと思う。そして、かけがえのない学びや触れ合いの中で成長し喜びが増えること等、障がいがあっても、なくても同じ環境で育っていく意味はたくさんある。
医療的ケア児の子育てを理解し協力し、同じ環境で一緒に出来ることはしよう、そういう流れが社会全体に広がればありがたいと思う。