障がい児のきょうだいのことを、きょうだい児、という。
きょうだい児として生きてきた私の長女。
社会人となって間もなく2年目。

大人になった今、今までの思いや将来的な不安などを書いてくれた。

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障害の妹がいる

私には1歳年下に脳性麻痺の妹がいる。

妹は食べること、話すこと、歩くこと誰でも当たり前にできることが何もできない。

年齢が一つしか変わらないので物心ついた頃から障害を持った妹がいることが普通だった。

同じ幼稚園、小学校に通っていた。

しかし周りの友達からいじめられたり、妹のことに関して何か言われた事はなかった。

妹がいたことによって対人関係に悩む事はなかった。

妹のことを憎んだり、嫌いになったりした事は一度もなかった。妹の存在を恥ずかしいと思ったこともなかった。私にとって妹は大切な存在でその事はこれからもずっと変わらない事だと思う。

小さい頃から、母親は妹に付きっきりだったが寂しいと感じる事はほとんどなかった。母が時間を見つけて私との時間を作ってくれていたからだと思う。しかし、悩んだ事が一つもなかったわけではない。

周りの大人から「障害のある妹がいるからかわいそう」「大変だね」そのような言葉をかけられることが嫌いだった。障害の妹がいるから特別なわけでもない。何がかわいそうなのか、妹がいることがかわいそうなのか、何も知らないのにウワベだけの言葉で言われることが嫌だった。

将来に対しての不安もある。兄弟児の方ほとんどが思ったことがあるかもしれない。もし親が倒れた場合どうなるのか。妹の介護をしながら仕事をすることができるのか。結婚することができるのか。

母は仕事をしながら家事をして妹の面倒を見ている。知り合いの大人から「お母さんもしてるから大丈夫でしょ」と言われたことがある。実際社会に出てみて、もし何かあった場合すぐに家に帰る事はできない。毎日定時に仕事が終わるとも限らない。今、母親がしている事をこなす自信は正直ない。しかし施設に入れることもしたくはない。まだまだ先のことだと思うが、漠然と怖く感じることがある。簡単に大丈夫と言われたくない。妹のせいにして、自分のしたいことを見つけて行動をしていないと言われることもあるが、どうしても頭の片隅に妹のことがある。妹のことが大事だからこそ将来に対して怖いとも思うし、まだ先のことだとわかっていても自分がこれから面倒を見ていくことに対しての不安がある。

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障がい児支援と同様に、その兄弟姉妹にも支援が必要である。
人には言えない悩み、不安、葛藤は多々あるだろう。
そんな思いを吐き出せる場が必要なのだと思う。

長女が
「私で役に立つなら、いくらでも話聞くよー。きょうだい児の先輩だし」と、あっけらかんとして、言ってくれた姿に、嬉しさと頼もしさを感じた。