先日、ソレイユ開設当初から関わってきた利用者様が他界された。

ご夫婦で二人暮らしの90歳のKさん。

訪問当初からベッド上での生活を余儀なくされていたKさん。

様々なジャンルの歌が好きで、特にシャンソンが好きだったとのこと。

よく通る声で、訪問中も時々歌ってくださった。

明るく、お話し好きな方。私たちがKさんから元気をもらうことも多かった。

今年に入り、尿路感染と誤嚥性肺炎を発症、入退院を繰り返していた。

ご本人は「家で過ごしたい、家に帰りたい」と望まれ、奥様もできる限り家で過ごさせてあげたい、との思いから、なるべく病院ではなく、在宅で生活できるように試行錯誤しながら、関わってきた。

しかし、ご高齢の奥さんとの二人暮らし。入院せざるを得ない状態になることも多々あった。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、面会ができない状態が続いた。

そんな状況でも奥さんは毎日病院に行かれたそうです。Kさんに書いたラブレターを持って。

毎日毎日、ラブレターを書かれた。その話を聞いて、胸が熱くなり、何とも言えない心境になった。

今の時代、ラブレターを書く、ということは、いわば忘れ去られている行動ではないか。

一文一文にしたためられた、奥さんの思い、愛情・・・。

 

一泊外泊の許可が出て、奥様も私たちも受け入れの準備をしていたさなか、あと2時間で病院を出発、というときに急変され、そのまま永眠された。

その連絡がきたとき、愕然とした。医療従事者らしからぬ思いかもしれないが、

「神様はいないのか?」「いや、神様は意地悪なのか?」なんて思いがよぎった。

 

お通夜に参列させていただいたとき、会場に、奥さんが書かれたラブレターの数々が置いてあった。

思い出のお二人の写真を貼ったラブレター。

お二人の愛の絆の強さ、深さを知ることができた。

 

お通夜のあと、奥様がおっしゃった。

「外泊できなかったのはさみしいけど・・きっと私に大変な思いをさせたくないと思って、帰る前に逝ったんだと思う」

やはり、神様はいるのか・・・先を見越しておられたのか・・

答えはわからない。

しかし、人生の大先輩のお二人から、たくさんのことを教わったように思う。

この学びを大切に歩んでいきたい。